「技術の創造と設計」(畑村洋太郎著)を読んで
機械設計者は、「無」から「有」を生み出す ということに、魅力を感じ、それに意義を見いだすものと思います。
わたしも機械設計者のひとりとして、30数年間このおもしろさを求めて取り組んできました。
が、仕事が一段落したこの時期に、わたしの取り組み方は良かったのか? 他にどのような方法があったのか? と多少振り返ってみることにします。そこで、その手法に関する情報(本)を探してみると・・・・・
失敗学の畑村洋太郎氏著、2006年岩波書店発行「技術の創造と設計」がありました。
早速、図書館で借り読んでみました。その感想を述べてみます。
いわれてみればなるほどな と思われた ------「産業の成長衰退とSカーブ、企業の技術レベルとSカーブ」、「マニュアルの必要性とマニュアル化の弊害」、「日本人の失敗への対処の仕方とその改善策」、
自分だけではなかったとやや安心した ------構想設計中は「ぶらぶら歩き回っている」等々、の記述あり
特に全体として強く感じたのは、 全体を見渡すことの重要性 です。
開発した機械の機能、安全性およびそれらの限界を把握するためには、設計の段階において、企画から運用までの全体を見渡すことが重要であるとあらためて感じます。
その関連として、本著では原子力関連事故(JCOの臨界事故)の発生を予見しています。
また、本流として、創造的設計とその手法について述べてあり、機械設計に携わる方はできだけ早い時期に読まれることを僭越ながらお勧めします。